起立性調節障害の友達にできること|専門家が解説

学校に来られない起立性調節障害の友達を、心配そうに思う女子生徒。

こんにちは。大阪市の浜崎鍼灸整骨院、院長の浜崎です。
先日、制服姿の中学生の女の子が、一人でうちの院を訪ねてきてくれたんです。「ブログ見て来ました(書いてて良かった!)。治療やないんです。相談があって…」と、目に涙を浮かべて話してくれました。
一番仲のええ友達が起立性調節障害になって、学校に来られへんようになってしまった、と。
「なんて声をかけたらええか分からへんのです」
「LINEを送っても、返信がないと『うざい』って思われてるんかなって…」
「でも、何かしてあげたいんです」
友達を想う、その優しくて、どうしようもなく切実な気持ちに、僕は胸が熱くなりました。
この記事は、まさにそんな君のために書きました。大切な友達がしんどい時、自分に何ができるんやろかって悩んでる、心優しい君のための記事です。

この記事でわかること

  • 起立性調節障害が「怠け」ではないという正しい知識
  • 友達を傷つけずに、心に寄り添うための具体的な言葉のかけ方
  • 学校生活をサポートするために、あなたにもできる具体的な行動
  • 専門家への橋渡しという、最高の優しさ
目次

起立性調節障害の友達にできること:まず知ること

起立性調節障害について、本で熱心に学ぶ女子生徒。
まず「知ること」が、友達を支える最初の一歩になります。

友達への正しい接し方とは

起立性調節障害の友達に、ただ静かに寄り添う様子のイメージ画像
特別なことじゃなくていい。ただ、「いつも通り」そばにいてあげることが、最高の支えになります。

大切な友達が起立性調節障害になってしまった時、まずあなたにできる最も重要なことは、「特別なことをしよう」と頑張りすぎないことです。

何よりもまず、「起立性調節障害は、本人の気合や根性の問題ではなく、自律神経の不調によって起こる『体の病気』なんだ」と、正しく理解してあげてください。朝起きられないのも、学校を休みがちなのも、決して友達が怠けているわけではないのです。その事実を、あなたが理解してくれるだけで、孤立しがちな友達の心は、どれだけ救われるか分かりません。
(参考:日本小児心身医学会

相手を傷つける言ってはいけない言葉

友達からの心ない一言に、傷ついてしまった起立性調節障害の生徒。
良かれと思ったその一言が、意図せず親友を傷つけてしまうことも。

良かれと思ってかけた言葉が、意図せず友達を深く傷つけてしまうことがあります。特に、以下のような言葉は、絶対に避けるべきです。

【注意】起立性調節障害の友達へのNGワード

  • 「頑張って」「気合で乗り越えろ」:根性論は、本人の意思ではどうにもならない症状に苦しむ友達を、さらに追い詰めます。
  • 「なんで来れないの?」「また休み?」:学校に来られないことを、誰よりも本人が一番辛く、申し訳なく思っています。
  • 「夜更かししてるからじゃないの?」:症状のせいで夜眠れなくなっている場合も多く、単純な原因の決めつけは相手を傷つけます。
  • 「私も昨日、朝しんどかったよ」:安易な同調は、「私のこの辛さは、誰にも分かってもらえない」という孤独感を深めてしまう可能性があります。

大切なのは、励ますことよりも、まず「そっか、しんどいよな」と、その辛さをただ静かに受け止めてあげることです。

「友達うざい」と思われないための配慮

学校を休んだ起立性調節障害の友達のために、机の上に置かれたノートと差し入れ。
「うざい」なんて思わないで。その行動の裏にある、友達の葛藤を想像してあげて。

「遊びに誘っても、いつも断られる」「LINEの返信が遅い」…そんな時、つい「うざいな」と感じてしまう瞬間があるかもしれません。でも、少しだけ想像してみてください。

友達は、あなたと遊びたくないわけでは、決してありません。本当は誰よりも一緒に行きたいのです。でも、急な体調の変化が怖くて、約束をすることができない。返信をするだけの気力さえない時もある。その行動の裏にある、友達の葛藤を理解してあげることが、「うざい」ではなく「心配だな」という気持ちに変える、一番の秘訣です。

温かい言葉をかけるタイミング

友達からの「会えて嬉しかった」という、温かいLINEメッセージ。
何気ない一言、小さな心配りが、孤立しがちな友達の心を、どれだけ温めるか分かりません。

では、どんな言葉を、どんなタイミングでかければ良いのでしょうか。長文の励ましのメッセージは、かえって返信のプレッシャーを与えてしまうことがあります。

【ポイント】心に響く、短いメッセージ

大切なのは、短くても、あなたの気持ちが伝わる言葉です。

  • 学校で会えなかった日:「今日、〇〇っていう面白いことがあってな(笑)」といった、何気ない日常の報告LINE。返信は求めず、ただ社会との繋がりを感じさせてあげるだけで十分です。
  • 少し元気そうな時:「体調どう?無理しなや」「いつでも話聞くで」といった、相手を気遣う、短い一言。
  • 学校に来れた日:「今日、会えて嬉しかったわ!」と、特別なことではなく、ただ会えた喜びを伝える。

励ますのではなく、「私は、あなたのことを忘れてないよ」「いつでも、ここにいるよ」というメッセージを伝え続けることが、何よりの力になります。

周りの理解を得るための手助け

起立性調節障害の友達のために、周りのクラスメイトに病気への理解を求める生徒
あなたが「防波堤」になってあげること。それも、最高のサポートです。

もし、あなた以外のクラスメイトが「〇〇って、なんでいつも休んでるの?」と聞いてきた時。あなたが、そっと「なんか、朝起きるのがしんどい病気らしいで。本人も辛いみたいやから、そっとしといてあげようや」と伝えてあげる。これも、あなたにしかできない、最高のサポートです。

本人の代わりに全てを説明する必要はありません。ただ、無理解な噂話が広まらないように、あなたが防波堤になってあげる。それだけで、友達の学校での居心地は、大きく変わるはずです。

起立性調節障害の友達にできること:具体的な行動

起立性調節障害のサポートについて、学校の資料を一緒に確認する友達同士。
一人で情報を集めるのは大変。一緒に調べてあげる優しさが、友達の負担を大きく減らします。

学校への説明で協力できること

起立性調節障害について、友達と一緒に先生に説明する生徒たち。
一人では言えないことも、二人なら、きっと勇気が出る。

起立性調節障害に悩む本人が、先生に自分の症状をうまく説明するのは、非常に難しいことです。もし友達が「先生に、自分の状態を分かってもらえない」と悩んでいたら、「今度、一緒に先生に話しに行こうか?」と声をかけてあげるのも、大きな助けになります。

二人でなら、一人よりも少しだけ、勇気が出るかもしれません。あなたが隣にいてくれるだけで、友達は安心して、自分の言葉で先生に伝えられるようになるのです。

学校の配慮や保健室対応を知る

起立性調節障害の生徒が、安心して休むことができる学校の保健室。
「しんどい時は、あそこに行けば大丈夫」。そう思える場所があるだけで、心は軽くなります。

多くの学校では、起立性調節障害の生徒に対して、様々な配慮を行っています。あなた自身が、そうした制度について知っておくことも、友達をサポートする上で役立ちます。

【豆知識】学校で受けられる配慮の例

  • 遅刻の公認:体調が整ってからの午後登校などを、欠席扱いとしない。
  • 保健室登校:教室に入るのが辛い日でも、保健室で過ごすことで出席と認める。
  • 休憩時間の確保:授業中に気分が悪くなった際、保健室で休むことを許可する。
  • 体育授業の見学:体調に合わせて、無理のない範囲での参加や見学を認める。

こうした情報を知っておけば、「しんどかったら、保健室行こうや」と、具体的な声をかけてあげることができます。

学校対応を一緒に確認しよう

起立性調節障害のサポートについて、学校の資料を一緒に確認する友達同士。
一人で情報を集めるのは大変。一緒に調べてあげる優しさが、友達の負担を大きく減らします。

「うちの学校って、どんな対応してくれるんやろ?」もし友達がそう不安に思っていたら、「一緒に学校のホームページを見てみようや」「保健室の先生に、どんなサポートがあるか聞いてみようか?」と提案してみるのも良いでしょう。

一人で情報を集めるのは、気力も体力も必要です。あなたが一緒に調べてくれるだけで、友達の負担は大きく減り、「一人じゃないんだ」と感じることができます。
(参考:文部科学省「不登-校児童生徒への支援について」

専門家を頼るという選択肢

起立性調節障害の悩みについて、専門家に相談している様子。
「こういう選択肢もあるらしいで」。その一言が、友達の未来を照らす光になるかもしれません。

あなたが友達としてできる最高のサポートは、まず病気を正しく理解し、味方でいてあげることです。その上で、もし友達が「もう、どうすればいいか分からない」と、本当に行き詰まってしまった時。

そんな時は、「薬以外にも、体の中から体調を整えてくれる専門家の先生もいるらしいで」と、そっと伝えてあげるのも、一つの優しさかもしれません。僕たちのような専門家は、乱れてしまった自律神経のバランスそのものを、鍼灸治療などを通じて、優しく整えるお手伝いをします。それは、体の中から「朝、起きられる力」を引き出すアプローチです。

無理に勧める必要は全くありません。ただ、「君には、まだこんな選択肢も残されているんだよ」と、新しい希望の扉を、そっと教えてあげる。それも、最高の味方だからこそできる、大切な役割です。

最高の味方でいたい君へ|起立性調節障害の友達にできること、最終チェック

起立性調節障害の友達と、未来を見つめる希望のイメージ。
あなたのその優しい気持ちこそが、友達にとって、何よりの薬になるのです。
  • 起立性調節障害は「怠け」ではなく本人の意思ではどうにもならない「体の病気」だと理解する
  • 「頑張れ」という励ましは、時に相手を追い詰める「言ってはいけない言葉」になる
  • 約束を断られても「うざい」と思わず、症状の辛さを想像してあげる
  • 何気ない日常のLINEを送るなど、変わらない態度で接することが最高の安心感に繋がる
  • 周りの無理解な噂から友達を守る「防波堤」になってあげる
  • 先生への説明など、友達が一人では難しい場面で「一緒に」と声をかける
  • 学校にどんな配慮やサポート(保健室対応など)があるか、情報を知っておく
  • 学校の対応について、一人で抱え込ませず、一緒に確認する姿勢を見せる
  • 特別なことをするのではなく、ただ「味方だよ」と伝え続けることが一番大切
  • 友達が本当に行き詰まった時、専門家を頼るという選択肢をそっと教えてあげるのも優しさ
  • 鍼灸治療は自律神経のバランスを整え、薬以外のアプローチとして有効な場合がある
  • 友達を支えるあなた自身も、一人で抱え込みすぎないで
  • あなたのその優しい気持ちこそが、友達にとって何よりの薬になる
  • ゴールは病気を治すことだけでなく、友達が笑顔を取り戻すこと
  • あなたは、友達にとって最高の「伴走者」になれる

※当院のホームページに掲載している内容は、臨床経験や既存の研究に基づいていますが、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。施術による効果には、一人ひとりの体質や生活習慣によって個人差があります。私たちは、あなたの「伴走者」として、あなたにとっての最善を一緒に見つけていくことをお約束します。

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この記事の執筆者

浜崎鍼灸整骨院院長、浜崎洋の画像
浜崎鍼灸整骨院 院長 浜崎 洋
  • 院名: 浜崎鍼灸整骨院
  • 役職: 院長
  • 年齢: 57歳
  • 所在地: 大阪市
  • 保有国家資格: 鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師
  • メディア実績等: 24時間テレビ「愛は地球を救う」チャリティーマラソンにメディカルスタッフとして参加。新聞・テレビなど取材多数。国内だけでなく海外からも患者が来院。
  • 人物像: 三児の父。趣味はラグビー、ソフトボール、ハイキング、サイクリング、映画・音楽鑑賞、食事会。地域ボランティア活動にも積極的で、災害ボランティアでは全国を駆け巡る。
  • モットー: 「やり過ぎない」
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