「なんだかだるい…」春バテ対策は食べ物から。鍼灸師が自律神経の整え方を解説します

春バテで疲れを感じる40代女性が温かい飲み物で体を休める様子

春バテ対策は食べ物から!鍼灸師が教える自律神経の整え方

こんにちは。浜崎鍼灸整骨院・院長の浜崎です。
先日、こんな患者さんが来院されました。
「春になってから、ずっとだるくて、食欲もなくて。病院で検査してもらったんですけど、異常なしって言われて…どうしたらいいのか」
40代の女性でした。声に力がなく、顔色もくすんでいる。でも血液検査も画像検査も正常。
これ、私がこの30年の臨床で何百回と見てきた光景です。
ここで、私の見解をひとつ言わせてください。
春バテで「食欲がない・だるい・眠れない」を訴える方の根っこには、たいてい同じ構造があります。東洋医学でいう「肝(かん)」が春に過剰に働きすぎて、胃腸を司る「脾(ひ)」の力を奪ってしまっている状態です。胃腸が弱るから食べられない。食べられないから回復できない。この悪循環を断たないと、どれだけ良い食材を選んでも空回りします。
「春バテに何を食べればいいか」の前に、まずこの構造を知ってほしい。
そのうえで、コンビニで使えるおにぎりや飲み物の選び方、間食の工夫、自宅でできるツボ押しまで、鍼灸師の視点で順番に解説していきます。

この記事でわかること

  • 東洋医学から見た「春に胃腸が弱る理由」と食養生の考え方
  • 自律神経の過労が招く栄養不足のしくみ
  • コンビニやスーパーで今日から使えるおすすめ食材・飲み物
  • 食事と組み合わせて実践したい自律神経を整える特効ツボ

参考記事:【2026年3月版】春バテ・自律神経の乱れが増える季節に(当院ブログ)

目次

春バテ対策の食べ物を知る前に!原因と鍼灸

「春バテには何を食べればいいですか?」と聞かれると、私はまず「最近、胃腸の調子はどうですか?」と聞き返すことがあります。食べ物の話をする前に、その食べ物を受け取れる身体かどうかを確認したいからです。

東洋医学や薬膳の視点で診る春の胃腸疲れ


東洋医学の木剋土の関係を示すイラスト。肝が脾(胃腸)を弱らせる春バテのメカニズム

春に胃腸が弱るのは、東洋医学でいう「木剋土」——肝が脾を抑え込んでしまう季節の構造です

東洋医学では、春は「肝(かん)」が最も活発になる季節だと考えます。

ここでいう「肝」は、肝臓という臓器だけを指すのではありません。自律神経のコントロール、感情の調整、全身の血の流れの管理——この三つをまとめて担っているシステム全体のことです。

春になって草木が上へ伸びるように、人の体の中でも「気(生命エネルギー)」が上半身に向かって昇りやすくなります。この動きが過剰になると、頭のぼせ・めまい・イライラ・不眠が出やすくなります。

そして、ここが胃腸との大事なつながりです。

東洋医学の五行学説では、「肝(木)」が過剰になると隣の「脾(土)」を抑え込んでしまう「木剋土(もっこくど)」という関係があります。


「肝」が過労になると、「脾(胃腸)」が弱る。 だから春は食欲が落ち、消化が悪くなる。


春先に胃がキリキリしたり、食べてもすぐ胃もたれしたりするのは、胃腸そのものが壊れているのではなく、この「肝→脾」の流れで弱らされているケースがほとんどです。

ですから、春の食養生で大切なのは「胃腸に良いものを入れる」だけでなく、荒ぶる「肝」をなだめ、気の巡りをスムーズにすること。酸味のある食べ物や香りのよい食材が有効なのは、この理論からきています。

参考記事:夏バテの吐き気・胃腸不調について(当院ブログ)

自律神経の過労と栄養不足が招く春の不調

東洋医学の「肝」を現代医学の言葉に置き換えると「自律神経系」に近いイメージです。

春は、一日の中でも寒暖差が激しく、低気圧と高気圧が交互に通過します。進学・就職・異動など、環境の変化も重なります。身体はこの変化に対応しようと、アクセル役の交感神経をフル稼働させます。

でも、それが長く続くと——。

交感神経の過緊張状態は莫大なエネルギーを消耗させます。さらに、交感神経が優位なままだとブレーキ役の副交感神経が抑え込まれ、胃腸の動きが鈍ります。

交感神経優位が続く → 胃腸の動きが鈍る → 消化不良・食欲不振 → 栄養不足 → さらに疲労が蓄積。

この悪循環の入り口が「胃腸の機能低下」なのです。(出典:厚生労働省「こころの耳」『自律神経失調症』)

朝起きるのが辛い、日中の眠気が抜けない、やる気が出ない。

これはあなたの気合いの問題でも根性の問題でもなく、身体が限界を訴えているSOSサインです。まず、そう受け止めてあげてください。

無理ややり過ぎないセルフケアと鍼灸治療

私が30年の臨床でずっと大事にしてきた言葉があります。「やり過ぎない」。

春バテを感じているとき、スタミナ食を大量に食べたり、気合いで激しい運動をしたりするのは逆効果です。疲弊した胃腸には、消化の負担が大きい食事がかえってダメージになります。

まず夜、スマホを置いて、早めに休む。それだけで十分です。

ただ、「食事がまったく喉を通らない」「何をしても眠れず、首や背中がガチガチ」という状態は、食事と睡眠だけでは回復しきれないサインです。そんなときは、鍼灸という選択肢も思い出してもらえると嬉しいです。髪の毛ほどの細い鍼やお灸でツボを刺激することで、高ぶった「肝」の巡りを整え、弱った胃腸の働きを根本から回復させるのが、鍼灸の最も得意とするところです。

ご注意 この記事でご紹介する食べ物やツボの知識は、一般的なセルフケア情報です。症状が長引く場合や強い倦怠感がある場合は、必ずお近くの医療機関や専門家にご相談ください。


参考記事:過換気症候群(過呼吸)の改善について(当院ブログ)

当院の特長・施術についてはこちら

実践!春バテ対策になる食べ物とプロの知恵

ここからは実践編です。旬の野菜、コンビニでの選び方、飲み物、お菓子、レシピ、ツボ押しまで、具体的にまとめました。

疲労を癒す栄養素とおすすめの春野菜

春バテ対策におすすめの春野菜。春キャベツ・新玉ねぎ・菜の花・そら豆が並ぶ
旬の春野菜には、冬に溜め込んだ疲れを回復させる成分が詰まっています。

春に旬を迎える野菜には、春の環境ストレスから身体を守り、冬に溜め込んだ疲労を回復させる成分が詰まっています。注目すべきは、疲労物質を分解する「クエン酸」、糖質をエネルギーに変える「ビタミンB群」、胃腸の粘膜を修復する機能性成分の三つです。

おすすめの春野菜期待できる働きと栄養メカニズム
春キャベツ「ビタミンU(キャベジン)」が豊富。弱った胃粘膜の修復を助けます
新玉ねぎ「硫化アリル」が血流を改善。豚肉のビタミンB1との組み合わせで吸収率が大幅アップ
菜の花ビタミンCがトップクラス。東洋医学では「温」の食材で「気」の巡りを助けます
たらの芽(山菜)特有の「苦味」成分が胃腸を刺激し、自律神経の切り替えをサポート
そら豆植物性たんぱく質とビタミンB群がバランスよく含まれ、筋肉の疲労回復を助けます

ビタミンCや硫化アリルは水に溶けやすく熱でも失われやすい性質があります。サラダで生食するか、スープ料理で栄養ごと飲める調理法を選ぶと効率よく摂れます。各食材の詳しい栄養成分は、文部科学省「食品成分データベース」でご確認いただけます。

コンビニで手軽に買えるおすすめの主食

仕事帰りにコンビニで春バテ対策のおにぎりを選ぶ30代男性

コンビニで買えるもので十分です。大切なのは、何を選ぶかだけ。

「自炊は無理。でも何かしたい」という日こそ、コンビニを賢く使えばいい。

完璧な食事より、続けられる食事の方がずっと大事です。

先日、30代の男性患者さんが「先生、春になってから仕事終わりに買い物する気力すらなくて、コンビニのパンで済ませてしまうんです」とおっしゃっていました。その気持ち、すごくわかります。だからこそ、コンビニで何を選ぶかだけ少し意識してもらえれば十分です。

まず「梅おにぎり」。お米でブドウ糖をすばやく補給しながら、梅干しのクエン酸でエネルギー産生工場(クエン酸回路)を回せます。筋肉に溜まった疲労物質の代謝を早める、シンプルで強力な組み合わせです。

次に「鮭のおにぎり」。鮭の赤い色素「アスタキサンチン」はビタミンEを超える強力な抗酸化作用を持ち、環境ストレスから細胞を守りながら良質なたんぱく質も補給できます。

そして「納豆巻き」。大豆のトリプトファンが精神安定ホルモン「セロトニン」の材料になります。納豆菌と海苔の食物繊維が腸内環境を整え、腸と脳の連携(腸脳相関)を通じて春の憂鬱な気分にも働きかけます。腸と自律神経の深い関係については、公益財団法人 長寿科学振興財団「腸内環境と生活習慣病」もご参照ください。

これにサラダチキンか海藻サラダを組み合わせれば、立派な春バテ対策の一食の完成です。

胃腸に優しい飲み物で素早くエネルギー補給

春バテ回復におすすめの飲み物。甘酒・黒酢ドリンク・フルーツジュース・豆乳が並ぶ
固形物が辛い日は、飲み物から栄養を。胃腸への負担が少なく、吸収スピードも速いです。

「固形物を噛んで飲み込む気力すらない…」という日もあります。

そういう日は、無理に食べなくていいです。

飲み物の方が胃腸への負担が少なく、吸収スピードも速いです。

春バテからの回復を助けるおすすめドリンク

  • 甘酒(米麹ベース):「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価が高い。デンプンがブドウ糖に、たんぱく質がアミノ酸にすでに分解されているため、弱った胃腸でもそのままエネルギーになります
  • 黒酢ドリンク:クエン酸と豊富なアミノ酸が疲労物質の分解を加速。全身の重だるさを軽くしてくれます
  • 100%フルーツジュース:果糖とビタミンCがストレスと戦う副腎を直接サポートします
  • 豆乳:植物性たんぱく質とビタミンB1が豊富で、エネルギー不足の回復に直結します

夜寝る前は、ホットはちみつレモンやカモミールティーを温かい状態で。温かい飲み物が胃からじんわりと全身を温め、副交感神経を優位にして自然な眠りを引き出してくれます。

間食やお菓子も工夫次第で立派な栄養補給に

春は脳がフル回転でエネルギーを使うため、甘いものが無性に食べたくなります。ここで精製された白砂糖たっぷりのスナック菓子をドカ食いするのが一番もったいない。血糖値の急上昇・急降下がかえって強い眠気とイライラを招くからです。

間食で意識してほしいのは一点だけ。「血糖値の上昇が緩やかで、疲労回復に必要な栄養素も同時に摂れるもの」を選ぶことです。

「干し芋」は非常に優秀です。食物繊維が豊富で甘みはしっかりあるのに血糖値の上昇が緩やか。ビタミンB1や加熱しても壊れにくいビタミンCも含んでいます。「バナナ」も、消化吸収が早いうえにセロトニンの材料となるトリプトファン、筋肉回復を助けるビタミンB6も摂れます。他にも、小豆のポリフェノールが摂れる白玉ぜんざいや冷凍フルーツも、午後の小腹が空いた時のいい選択肢です。

献立に迷わない!簡単で美味しい改善レシピ

春バテ対策の手作り料理。新玉ねぎと豚肉の生姜焼きと春キャベツのミネストローネ

特別な食材は必要ありません。いつものおかずに、春の旬をちょっと足すだけです。

特別な食材は必要ありません。いつものおかずに少し工夫するだけです。

新玉ねぎと豚肉のたっぷり生姜焼き

豚肉のビタミンB1は、水に溶けやすく体外に排出されやすい弱点があります。ところが旬の新玉ねぎと組み合わせると、玉ねぎの「硫化アリル」とビタミンB1が結合して脂溶性の「アリチアミン」に変化します。腸からの吸収率が飛躍的に上がり、持続的な疲労回復効果が得られます。生姜のジンゲロールが血の巡りも促してくれる、最強の組み合わせです。

春キャベツと具だくさんミネストローネ

「胃の調子が悪いな」という日の一択です。春キャベツのビタミンU(キャベジン)が胃粘膜の修復を助けます。スープ料理にすることで野菜のかさが減り、水溶性のビタミンも溶け出した成分をスープごと体内に取り込めます。温かいスープが胃腸を内側から温め、副交感神経を優位にするリラックス効果もあります。副菜は、そら豆の塩ゆでや菜の花のマスタード和えなど旬の素材をシンプルに。

食事と一緒に!自律神経を整える特効ツボ

春バテ対策に神門のツボを押す50代日本人女性。自律神経を整えるセルフケア
「痛気持ちいい」くらいの優しい強さで。やり過ぎないが、一番大事です。

毎日の食事で内側からケアしながら、外側からも自律神経を整えられるのがツボ押しです。鍼灸師の視点から、春バテに特に効果的な三つをご紹介します。

春の自律神経を整える3つの特効ツボ

  • 百会(ひゃくえ):頭のてっぺん。両耳の一番高い場所を結んだ線と、眉間から頭頂部へ上がる線が交わる凹み。自律神経のバランスを整え、不眠・頭痛・集中力低下に効果的です
  • 太衝(たいしょう):足の甲。親指と人差し指の骨をなぞって足首側へ進み、指が止まるV字の凹み。「肝」の経絡上にあり、春特有のイライラ・気の上昇・目の疲れを静めます
  • 神門(しんもん):手首の内側。手首の曲がりジワの小指側の端、骨の手前の凹み。不安・緊張・動悸をほぐし、精神を深くリラックスさせます

以前、「夜になっても頭が冴えてしまって、何年も熟睡できていない」とおっしゃっていた50代の女性患者さんがいました。鍼灸治療と並行して、寝る前に神門と百会を押すことを習慣にしてもらったところ、「先生、久しぶりに朝まで眠れました」と報告してくださったことがあります。食事と組み合わせて試してみてください。

お風呂上がりや寝る前に、深呼吸しながら「痛気持ちいい」と感じる優しい強さで5秒押して、ゆっくり離す。これを数回繰り返すだけ。

強く押しすぎず、やり過ぎないことが大事です。鍼灸治療についてさらに詳しく知りたい方は、公益社団法人日本鍼灸師会もご参照ください。

まとめ:春バテ対策の食べ物と鍼灸の力

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

春バテは、あなたの気力の問題でも怠け心でもありません。「肝が脾を弱らせる」という季節の構造的な変化と、自律神経の過労と胃腸の疲弊が重なって起きています。

梅や鮭のおにぎり、春キャベツや新玉ねぎ、甘酒や黒酢ドリンク。疲れた胃腸でも受け取れる食材を、日常のちょっとした選択に取り入れてみてください。

コンビニで買えるもので十分です。

それでも「食事が喉を通らない」「だるさが抜けない」という場合は、一人で抱え込まずに鍼灸を思い出してもらえると嬉しいです。あなたが本来持っている回復力を引き出すお手伝いができます。

無理せず、やり過ぎず。一緒にこの春を乗り越えていきましょう。

当院の特長・施術についてはこちら


※当院のホームページに掲載している内容は、臨床経験や既存の研究に基づいていますが、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。施術による効果には、一人ひとりの体質や生活習慣によって個人差があります。私たちは、あなたの伴走者として、あなたにとっての最善を一緒に見つけていくことをお約束します。


この記事を書いた人

大阪市淀川区十三の浜崎鍼灸整骨院、院長、浜崎 洋
大阪市 浜崎鍼灸整骨院、院長の浜崎です。

浜崎 洋(はまざき ひろし) 浜崎鍼灸整骨院 院長

保有国家資格

  • はり師
  • きゅう師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 柔道整復師

プロフィール

大阪市淀川区十三で浜崎鍼灸整骨院を営む院長。4つの国家資格を持ち、臨床経験30年以上。自律神経失調症やパニック障害など、心身に関わる症状を専門とし、これまで3,000例以上の施術に携わってきました。

「症状だけを診る修理屋ではなく、患者さんの人生に寄り添う伴走者でありたい」という哲学のもと、「やり過ぎない」施術を大切にしています。国内だけでなく海外からも患者さんが来院するほか、24時間テレビ「愛は地球を救う」チャリティーマラソンへのメディカルスタッフ参加、新聞・テレビなど取材多数。

地域活動にも積極的に関わり、東日本大震災・熊本地震・能登半島地震では災害ボランティアとして現地に入りました。十三小学校施設開放委員会の委員長を務めるほか、地域のソフトボールチームの監督としても活動中。三児の父。趣味はラグビー、サイクリング、映画、音楽。

院情報

院名浜崎鍼灸整骨院
住所〒532-0024 大阪市淀川区十三
電話番号06-6885-8851
診療時間月・火・木・金 8:00〜12:00 / 16:00〜19:30 / 水・土 8:00〜12:30
休診日水・土の午後 / 日曜・祝日
ウェブサイトhttps://hamazaki-clinic13.net

目次