こんにちは。大阪市の浜崎鍼灸整骨院、院長の浜崎です。
「先生、うちの子、ご飯は食べへんのに、チョコレートや甘いジュースばっかり欲しがるんです。これって、やっぱり体に悪いですよね…?」
最近、起立性調節障害のお子様を持つお母さんから、このような切実な相談をよくいただきます。
ネットで調べると「チョコレートは体に良い」という情報もあれば、「砂糖の摂りすぎはダメ」という情報もある。一体、どっちを信じればいいのか分からなくなってしまいますよね。
この記事は、そんな混乱と不安の中にいる、あなたのために書きました。お子様が甘いものを渇望する、その行動の裏に隠された「体のSOSサイン」を、専門家として、そして一人の「伴走者」として、一緒に紐解いていきましょう。
この記事でわかること
- なぜ起立性調節障害のお子様が、異常なほど甘いものを欲しがるのか
- 「良薬」になるチョコレートと、「毒」になるチョコレートの違い。高カカオチョコレートは、ポリフェノールによる気分安定効果が期待されることがあります
- 甘いものに頼らず、体のエネルギー不足を解消するための食事法
- 根本から体質を見直す、鍼灸という選択肢
起立性調節障害とチョコレートの関係
なぜ?起立性調節障害で甘いものがやめられないのか

「ご飯は食べへんのに、お菓子ばっかり…」その行動、お子様のわがままや意思の弱さが原因ではありません。それは、体がエネルギー不足に陥り、手っ取り早いエネルギー源(糖分)を求めて発している、必死のSOSサインなのです。
起立性調節障害のお子様の体の中では、自律神経の乱れから、エネルギーを作り出す機能がうまく働いていません。そのため、脳や体が常に「ガス欠」のような状態になっています。このエネルギー不足を補おうとして、脳が即効性のあるエネルギー源である「糖分」を、本能的に渇望してしまうのです。(参考:日本小児心身医学会)
僕も日々の臨床で、「うちの子、甘いものばっかりで…」という相談を本当によく受けます。「でも、それはお子様が悪いわけやない。体が助けを求めてる証拠なんやで。エネルギー不足による生理的な反応と考えられるんです」といつもお伝えしています。
症状を悪化させる「食べてはいけないもの」

問題なのは、そのSOSに応えようとして、甘いお菓子やジュース、菓子パンといった精製された糖質を摂りすぎてしまうことです。これらは、症状をさらに悪化させる「毒」になりかねません。
【注意】血糖値の乱高下が自律神経を乱す
精製された糖質を大量に摂ると、血糖値がジェットコースターのように急上昇し、その反動で急降下します(血糖値スパイク)。この血糖値の乱高下こそが、自律神経をさらに大きく乱し、頭痛やだるさ、気分の落ち込みといった症状を悪化させる、最大の原因の一つなのです。
特に、パンや麺類、ファーストフード、スナック菓子などは、知らず知らずのうちに大量の糖質を摂取してしまうため、注意が必要です。
(参考:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「炭水化物 / 糖質」)
「朝ごはん食べれない」が招く悪循環

「朝、どうしても食欲がなくて食べられない」これも、起立性調節障害のお子様によく見られる悩みです。しかし、これがさらなる悪循環を招きます。
朝食を抜くと、体は昼までエネルギー不足のまま活動することになり、昼食後に血糖値が急上昇しやすくなります。そして、夕方にはまた低血糖状態になり、強いだるさや眠気に襲われ、それを補うために、また甘いものが欲しくなる…という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
コーヒーやエナジードリンクとの付き合い方

「朝、少しでも目を覚まさせるために…」と、コーヒーやエナジードリンクに頼りたくなる気持ち、よく分かります。しかし、これは最も避けるべき選択です。
カフェインは、交感神経を無理やり興奮させ、残り少ないエネルギーを前借りしているようなものです。その場はシャキッとするかもしれませんが、後で必ず、より深い疲労感やだるさという形で、揺り戻しが来ます。自律神経の乱れを、さらに助長してしまう危険な行為なのです。
おやつにはバナナや梅干しがおすすめ

では、どうしてもお腹が空いた時、おやつには何を選べば良いのでしょうか。僕がおすすめするのは、バナナや梅干しです。
【ポイント】体に優しいおやつの選び方
バナナは、糖質だけでなく、カリウムやマグネシウムといった、神経の働きを安定させるミネラルも豊富です。血糖値の上昇も、お菓子に比べて穏やかです。
梅干しに含まれるクエン酸は、疲労回復を助ける働きがあります。また、適度な塩分は、起立性調節障害の方に不足しがちな、体内の水分量を保つのにも役立ちます。
起立性調節障害とチョコレート、味方にする食べ方
起立性調節障害に本当に効く食べ物とは?

お子様の体を根本から元気にするためには、「何を避けるか」だけでなく、「何を摂るか」が非常に重要です。特に、意識して摂ってほしい栄養素は以下の通りです。
栄養素 | なぜ重要か? | 多く含まれる食べ物 |
タンパク質 | 体の全ての細胞やホルモンの材料となり、エネルギーの土台を作る。 | 肉、魚、卵、大豆製品 |
鉄分 | 全身に酸素を運び、エネルギー産生に不可欠。不足すると貧血になり、症状が悪化する。 | レバー、赤身肉、あさり、小松菜 |
ビタミンB群 | 糖質をエネルギーに変えるのを助け、神経の働きを正常に保つ。 | 豚肉、玄米、納豆、卵 |
乳酸菌サプリは試す価値があるのか?

「腸内環境を整える乳酸菌が、起立性調節障害に良いと聞いたのですが…」というご質問もよくいただきます。
結論から言うと、試してみる価値は十分にあります。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、気分を安定させるセロトニンなど、多くの神経伝達物質が作られる場所です。腸内環境を整えることは、自律神経の安定にも繋がる可能性があります。
【豆知識】
ただし、サプリメントだけに頼るのではなく、まずは発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)や食物繊維(野菜、海藻など)を食事に取り入れることから始めてみましょう。
食事で整える自律神経のバランス

ここまでお話ししてきた食事のポイントは、結局のところ、**「血糖値を乱高下させず、自律神経を安定させる」**という一点に尽きます。
【ポイント】食事でできる、自律神経を整える3つのコツ
- 精製された糖質(白いパン、お菓子、ジュース)を減らす
- タンパク質と鉄分を、毎食意識して摂る
- 食事の時間を決め、1日3食を基本とする
いきなり全てを完璧にやるのは難しいかもしれへんな。僕のモットーは「やり過ぎない」こと。まずは、お子様と一緒に「ジュースを麦茶に変えてみようか」といった、小さな一歩からで良いんです。親子で一緒に取り組むことが、何よりの力になりますよ。
体質から見直す、鍼灸という選択肢

食事の改善は非常に重要ですが、それだけではなかなか追いつかないほど、自律神経の乱れが根深くなってしまっているケースも少なくありません。
そこで、僕たちがご提案するのが鍼灸治療という選択肢です。
鍼灸治療は、自律神経の調整に対して補完的なアプローチとして注目されています。
乱れてしまった自律神経のバランスそのものに、優しく働きかけ、整えるお手伝いをすることを得意としています。特に、自律神経と深く関わる首や背中、お腹周りの緊張を緩めることで、体のスイッチがスムーズに切り替わるようサポートします。
お子様が異常なほど甘いものを欲しがるのは、体のSOSサインです。そのサインの根本原因にアプローチし、**「甘いものに頼らなくても、自分でエネルギーを作れる体」**へと、体質そのものを見直していく。それが、僕たちの考えるアプローチです。
自分を責めないで|起立性調節障害とチョコレート、親子で向き合うための最終チェック

- 起立性調節障害で甘いものを欲しがるのはSOSサイン
- 甘いチョコレートやジュースは血糖値を乱し症状を悪化させる
- 朝ごはんを食べないことはさらなる悪循環を招く
- コーヒーやエナジードリンクはエネルギーの前借りでしかない
- おやつにはミネラル豊富なバナナや疲労回復を助ける梅干しを
- カカオ70%以上のチョコは少量なら気分安定の助けになる可能性
- 本当に効く食べ物はタンパク質・鉄分・ビタミンB群
- 乳酸菌で腸内環境を整えることも自律神経の安定に繋がる
- 食事の基本は血糖値を安定させること
- 鍼灸は自律神経のバランスを整え体質から見直す手伝いができる
- 「食べてはダメ」ではなく「なぜ欲しがるのか」を理解することが第一歩
- お子様を責めず、親子で一緒に取り組むことが大切
- 完璧を目指さず「やり過ぎない」気持ちで
- あなたは一人ではない
- 専門家を頼る勇気を持って
※当院のホームページに掲載している内容は、臨床経験や既存の研究に基づいていますが、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。施術による効果には、一人ひとりの体質や生活習慣によって個人差があります。私たちは、あなたの「伴走者」として、あなたにとっての最善を一緒に見つけていくことをお約束します。
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この記事の執筆者
- 院名: 浜崎鍼灸整骨院
- 役職: 院長
- 年齢: 57歳
- 所在地: 大阪市
- 保有国家資格: 鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師
- メディア実績等: 24時間テレビ「愛は地球を救う」チャリティーマラソンにメディカルスタッフとして参加。新聞・テレビなど取材多数。国内だけでなく海外からも患者が来院。
- 人物像: 三児の父。趣味はラグビー、ソフトボール、ハイキング、サイクリング、映画・音楽鑑賞、食事会。地域ボランティア活動にも積極的で、災害ボランティアでは全国を駆け巡る。
- モットー: 「やり過ぎない」