夏バテのつらい吐き気、原因から解消法まで鍼灸師が徹底解説
こんにちは、大阪市で鍼灸整骨院を営んでる浜崎です。
夏本番になると、多くの患者さんから「なんだか体がだるい」「食欲がなくて気持ち悪い」といったご相談をいただく機会が増えます。
日々の会話の中で特に多いのが、「先生、この吐き気、夏バテですかね?」「吐き気で病院へ行ったらクーラー病って言われた。どうやって治すの?」といった切実なご質問です。
また、「胃が疲れているサインはありますか?」とか、「食欲がない時、ヨーグルトは食べてもいいですか?」など、食事に関するお悩みも後を絶ちません。
確かに、夏の不調には様々な原因が考えられます。
続く吐き気や下痢、時には胃痛や頭痛を伴うなど、症状が気持ち悪い状態は本当につらいものです。
多くの方が、治し方として即効性のある薬や、吐き気に効くツボなどを探しておられることでしょう。
しかし、その不調が本当に夏バテなのか、あるいは注意すべき熱中症との違いは何なのか、正しく見極めることが大切です。
そもそも、何故吐き気が起きるのか、その根本原因を知ることが、つらい症状を乗り越える第一歩となります。
この記事では、鍼灸師の視点から、夏バテによる吐き気の原因とその解消法について、網羅的に解説していきます。
あなたのつらいお悩みを解決するヒントが、きっと見つかるはずです。
この記事を読んでわかること
- 夏バテによる吐き気の根本的な原因
- 症状を和らげるための具体的なセルフケア方法
- 危険なサインと熱中症との見分け方
- 東洋医学に基づいた体質改善へのアプローチ
まずは原因から知る夏バテ吐き気解消法

夏バテで何故吐き気が?胃腸からのサイン

夏バテで吐き気が起こる最も大きな原因は、胃腸機能の低下にあります。
東洋医学では、胃腸などの消化器系を「脾(ひ)」と呼び、日々の活動エネルギーである「気」を作り出す、いわば体のエンジンのような場所だと考えています。
しかし、夏の過酷な環境はこのエンジンに大きな負担をかけてしまいます。
具体的には、以下の二つの要因が大きく関係しています。
1. 高温多湿による影響
日本の夏は、ただ暑いだけでなく湿度も非常に高いのが特徴です。
}東洋医学には「脾は湿を嫌う」という言葉があり、湿度が高い環境では胃腸の働きが鈍くなりやすいとされています。
湿気が胃腸に溜まることで、消化不良や食欲不振、そして吐き気といった症状を引き起こしてしまうのです。
2. 冷たいものの過剰摂取
暑いと、どうしてもアイスクリームや冷たいジュース、キンキンに冷えたビールなどに手が伸びがちです。
しかし、これらの冷たい飲食物は、胃腸を直接冷やして血管を収縮させ、消化酵素の働きを著しく低下させます。
その結果、食べたものがうまく消化されずに胃に留まり、胃もたれや吐き気の原因となるのです。
患者さんからも「食欲がないから、そうめんやアイスばかり食べてしまう」というお話をよく聞きます。
ですが、それがかえって胃腸を疲れさせ、夏バテを悪化させる悪循環に陥ってしまうケースが非常に多いのです。
このように、夏バテの吐き気は、胃腸が「疲れているよ」「助けてほしい」と送っている重要なサインだと捉えることが大切です。
その症状、気持ち悪いのは放置しないで

「夏だから仕方ない」「少し休めば治るだろう」と、夏バテによる気持ち悪さを軽く考えて放置してしまうのは大変危険です。
気持ち悪いという症状は、単なる不快感だけではありません。
消化吸収能力が落ちているサインであり、これを放置すると栄養不足による体力の著しい低下を招きます。
体を作るために必要なたんぱく質や、エネルギー代謝を助けるビタミン・ミネラルが不足すると、疲労感が抜けなくなり、無気力状態に陥りやすくなります。
さらに、こうした状態が秋口まで長引くと、いわゆる「秋バテ」につながることもあります。
夏に受けたダメージを回復できないまま季節の変わり目を迎えることで、自律神経がさらに乱れ、より深刻な体調不良を引き起こす可能性も否定できません。
注意すべき症状の悪化
単なる気持ち悪さから、めまいや立ちくらみ、頭痛といった症状が頻繁に起こるようになった場合は注意が必要です。
これは、体が本格的なSOSを発している証拠です。
特に、更年期世代の方は体質の変化と重なり、症状が悪化しやすい傾向があるため、早めの対処が求められます。
「ちょっと気持ち悪いだけ」が、やがて日常生活に支障をきたすほどの不調につながる前に、ご自身の体の声に耳を傾け、適切に対応することが重要です。
次の項目でご紹介するセルフチェックもぜひ試してみてください。
鏡でチェック!「胃が疲れているサインは?」

自分の胃腸が疲れているかどうかは、実は身近なもので簡単にチェックできます。
それは、毎日ご自身の「舌」を鏡で観察することです。東洋医学では「舌診(ぜっしん)」といい、舌の状態は内臓の健康状態を映し出す鏡だと考えられています。
特に注目してほしいのが、舌の表面に付着している「舌苔(ぜったい)」です。
舌苔の量や色を見ることで、胃腸のコンディションを把握することができます。
状態 | 舌苔の特徴 | 体のサイン |
---|---|---|
健康な状態 | 舌全体が薄く白い苔で均一に覆われている | 胃腸が正常に機能している状態 |
胃腸の疲れ始め | 舌苔が普段より分厚くなる | 食べ過ぎや飲み過ぎ、消化機能の低下で未消化物が溜まっているサイン |
胃腸の熱・炎症 | 舌苔が黄色っぽく変色する | 胃腸がオーバーヒートしている状態。胃炎や口内炎、胸やけ、口臭の原因にもなる |
胃腸の冷え・機能低下 | 舌苔がほとんどなく、舌の表面がツルツルしている | 胃腸の働きがかなり弱っている状態。栄養をうまく吸収できていない可能性がある |
セルフチェックのポイント
朝起きて、歯を磨く前に鏡で舌を「べー」っと出してみてください。
自然光の下で見るのが最も分かりやすいです。昨日と比べて舌苔が分厚くなっていないか、黄色くなっていないかを確認する習慣をつけるだけで、胃腸の不調にいち早く気づくことができます。
もし舌の状態に変化が見られたら、それは胃腸が疲れているサインです。
食事の内容を見直したり、休息を多めに取ったりと、体をいたわる行動を心がけましょう。
クーラー病の吐き気はどうやって治すの?

夏バテの吐き気の大きな原因の一つに、「クーラー病(冷房病)」があります。
これは正式な病名ではありませんが、冷房が効いた室内と暑い屋外との激しい温度差に体が対応できず、自律神経が乱れてしまう状態を指します。
自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体温調節や内臓の働きをコントロールしている重要な神経です。
このバランスが崩れると、血行不良や胃腸機能の低下を招き、結果として吐き気や頭痛、肩こり、全身の倦怠感といった様々な不調が現れます。
クーラー病による吐き気を改善するには、乱れた自律神経のバランスを整えることが最も重要です。
以下の対策を試してみてください。
1. 体を内側と外側から温める
まず、冷え切った体を温めることが基本です。
夏でもシャワーだけで済ませず、38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる習慣をつけましょう。
リラックス効果で副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整いやすくなります。
また、食事では体を温める作用のある食材(ショウガ、ネギ、ニンニクなど)を積極的に取り入れるのがおすすめです。
冷たい飲み物を飲む際も、一杯目は楽しんだら二杯目からは常温にするなどの工夫が大切です。
2. 「首」を温める
首には太い血管や自律神経が集中しています。ネックウォーマーやストール、蒸しタオルなどで首の後ろを温めると、全身の血行が効率よく促進され、自律神経の乱れを整えるのに効果的です。
オフィスでできる簡単対策
職場など、自分で温度調節が難しい環境では、羽織るものを一枚常備したり、ひざ掛けやレッグウォーマーを活用したりして、冷気から体を守りましょう。
特に、足元は冷えやすいので重点的に対策すると良いです。
クーラー病は、自覚がないまま体を冷やしすぎていることが大きな問題です。
快適に過ごすための冷房が、かえって体調不良の原因にならないよう、上手な「温活」を心がけていきましょう。
吐き気や下痢は内臓の冷えが原因かも

吐き気と同時に下痢の症状がある場合、その根本原因は「内臓の冷え」にある可能性が非常に高いです。
前述の通り、冷たい飲食物の摂取やクーラーの効いた環境は、直接的・間接的に私たちの胃腸を冷やします。
胃腸が冷えると、消化機能が低下するだけでなく、腸のぜん動運動(便を送り出す動き)も鈍くなります。
その結果、消化不良を起こした食べ物が腸内に長く留まり、異常発酵してガスが発生したり、体を守るために早く排出しようとして下痢を引き起こしたりするのです。
東洋医学では、このような状態を「寒湿(かんしつ)」と呼びます。
体内に冷えと余分な水分(湿)が溜まることで、様々な不調が現れると考えます。
「冷たいものを食べるとすぐお腹を壊すんです」という方は、まさにこのタイプです。胃腸が冷えに弱く、水分代謝がうまくいっていない証拠と言えますね。
吐き気や下痢を繰り返す場合、まずは徹底的に内臓を温めることを意識してください。
内臓の冷え対策
- 温かい飲み物を摂る:白湯や生姜湯、ほうじ茶などを意識して飲みましょう。
- 腹巻を活用する:お腹周りを直接温めることで、内臓の血行を促進します。
- 体を温める食材を摂る:ネギ、ニラ、カボチャ、鶏肉などは体を温める性質があるとされています。
また、下痢は体内の水分とミネラルを大量に失わせ、脱水症状を招く危険があります。
ただの水ではなく、失われた電解質も補給できる経口補水液やスポーツドリンクを、常温で少しずつ飲むように心がけましょう。
つらい吐き気や下痢は、体からの悲鳴です。
その場しのぎの対処ではなく、根本原因である「内臓の冷え」の改善に取り組むことが、健やかな夏を過ごすための鍵となります。
実践できる夏バテ吐き気解消法と専門ケア
危険なサイン、夏バテと熱中症との違い

夏の体調不良で最も注意しなければならないのが、夏バテと「熱中症」を混同してしまうことです。
}夏バテは主に生活習慣の乱れによる胃腸機能の低下が原因ですが、熱中症は高温環境により体温調節機能が破綻した状態で、命に関わる緊急性の高い病気です。
命に関わる緊急性の高い病気⇒熱中症予防情報サイト
どちらもだるさや吐き気といった似た症状が現れるため見分けがつきにくいですが、決定的な違いがあります。
以下の表でポイントを確認し、万が一の事態に備えましょう。
項目 | 夏バテ | 熱中症 |
---|---|---|
主な原因 | 自律神経の乱れ、胃腸機能の低下 | 高温・多湿環境による体温調節機能の破綻 |
症状の進行 | 比較的ゆっくりと、慢性的に進行する | 急激に症状が悪化することがある |
特徴的な症状 | 食欲不振、全身の倦怠感、胃腸の不快感 | 高い体温、意識障害、けいれん、異常な発汗(または汗が全く出ない) |
意識の状態 | 通常ははっきりしている | 呼びかけへの反応が鈍い、言動がおかしい、意識を失うことがある |
対処法 | 生活習慣の見直し、体を温める、休養 | ためらわずに救急車を呼ぶ、涼しい場所へ避難、体を冷やす、水分・塩分補給 |
熱中症が疑われる危険なサイン
以下の症状が見られる場合は、夏バテではなく熱中症の可能性が極めて高いです。
すぐに医療機関を受診するか、救急車を要請してください。
- まっすぐ歩けない、立てない
- 呼びかけに応えない、意識が混濁している
- 体がガクガクとけいれんしている
- 体温が異常に高い
夏バテだと思っていたら、実は重度の熱中症だったというケースは少なくありません。
特に高齢者や子どもは体温調節機能が未熟なため、より注意が必要です。
ご自身や周りの人の様子が「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、まずは熱中症を疑い、迅速に行動することが何よりも大切です。
つらい吐き気の治し方、即効ならツボ押し
急な吐き気や胸のむかつきを感じた時、即効性が期待できるセルフケアとして「ツボ押し」が非常に有効です。
薬を飲むのに抵抗がある方や、外出先ですぐに対処したい場合に役立ちます。
東洋医学では、特定のツボを刺激することで、滞った「気」の流れを整え、内臓の働きを正常化させると考えられています。
吐き気に特に効果的とされる代表的なツボをいくつかご紹介します。
内関(ないかん)
乗り物酔いのツボとしても有名で、吐き気を抑える特効穴と言われています。
胃の不快感や精神的なストレスを和らげる効果も期待できます。
- 場所:手のひら側の手首のしわの中央から、指3本分ひじ側に向かったところ。2本の太い腱の間にあります。
- 押し方:親指の腹をツボに当て、気持ちいいと感じる程度の強さで、ゆっくりと5秒ほど押して離す、を数回繰り返します。
中脘(ちゅうかん)
胃の真上にあるツボで、「胃の疾患の専門家」とも呼ばれるほど、消化器系の症状全般に効果があります。
胃痛や食欲不振、胃もたれなどにも有効です。
- 場所:みぞおちとおへその真ん中あたり。
- 押し方:人差し指と中指をそろえてツボに当て、息を吐きながらゆっくりと優しく押します。お腹が張っている時は無理に強く押さないでください。
ツボ押しのコツ
ツボ押しは、「痛い」と感じるほど強く押す必要はありません。
「イタ気持ちいい」くらいの圧で、ゆっくりと息を吐きながら押すのがポイントです。
リラックスした状態で行うと、より効果が高まります。
これらのツボは、夏バテによる胃の不快感を和らげるためのお守りのようなものです。
場所を覚えておき、「ちょっと気持ち悪いな」と感じた時にすぐ実践できるようにしておくと、大変心強いでしょう。
胃痛や頭痛など併発症状への対処法

夏バテは、吐き気だけでなく、胃痛や頭痛といった他の症状を併発することも少なくありません。
これらの症状はそれぞれ関連しており、根本的な原因は自律神経の乱れや血行不良にあることが多いです。
胃痛がする場合
夏バテによる胃痛は、胃酸の過剰分泌や、胃の粘膜が弱っていることが原因で起こります。対処法としては、まず胃に負担をかけないことが第一です。
- 食事:刺激物(香辛料、カフェイン、炭酸飲料など)や脂っこいものは避け、おかゆやうどん、豆腐など消化の良いものを少量ずつ摂りましょう。
- 温める:腹巻をしたり、ぬるめのお湯に浸かったりして、お腹周りを温めると痛みが和らぐことがあります。
頭痛がする場合
夏の頭痛には、いくつかのタイプがあります。
- 緊張型頭痛:クーラーによる冷えや同じ姿勢が続くことで、首や肩の筋肉が緊張し、血行が悪くなって起こります。
頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。
この場合は、首や肩を温めたり、軽いストレッチをしたりするのが効果的です。 - 片頭痛:急激な温度差などが引き金となり、血管が急に拡張して起こると言われています。
ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴で、この場合は温めると逆効果になることがあります。
痛む部分を冷やしたり、静かな暗い場所で休んだりするのが良いでしょう。
水分不足による頭痛
夏場は汗で多くの水分が失われるため、脱水状態に陥りやすく、それが頭痛の原因になることもあります。
吐き気やだるさと共に頭痛がある場合は、まず水分と塩分を適切に補給することが重要です。
どの症状が強く出ているかによって、最適な対処法は異なります。
ご自身の体の状態をよく観察し、症状に合ったケアを選択することが大切です。
もし症状が長引いたり、我慢できないほど辛かったりする場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
複数の症状が同時に出ている時は、体が深刻な悲鳴を上げているサインです。無理をせず、しっかりと体を休ませてあげましょう。
弱った胃にヨーグルトは食べてもいいですか?

これは、患者さんから非常によくいただく質問の一つです。
「食欲がない時でも、ヨーグルトなら食べやすい」と感じる方が多いようです。
結論から言うと、ヨーグルトを食べる際は、ご自身の体調とヨーグルトの種類をよく見極める必要があります。
ヨーグルトは発酵食品であり、腸内環境を整える善玉菌を多く含むため、基本的には健康に良い食べ物です。
たんぱく質やカルシウムを手軽に補給できるヨーグルト⇒食品成分データベース
しかし、夏バテで胃腸が弱っている時には、いくつかの注意点があります。
メリットと注意点
ポイント | 詳細 |
---|---|
メリット | ・口当たりが良く、食欲がなくても食べやすい ・乳酸菌などが腸内環境を整える助けになる ・たんぱく質やカルシウムを手軽に補給できる |
注意点・デメリット | ・冷たいまま食べると胃腸をさらに冷やし、機能を低下させる可能性がある ・商品によっては糖分が多く含まれており、血糖値の乱高下を招くことがある ・乳製品が体に合わない「乳糖不耐症」の人は、下痢や腹痛の原因になる |
食べる際の工夫
もし夏バテ中にヨーグルトを食べるのであれば、以下の工夫を試してみてください。
- 常温に戻してから食べる:冷蔵庫から出してすぐに食べるのではなく、15~20分ほど室温に置いてから食べると、胃腸への負担を軽減できます。
- 無糖・低糖タイプを選ぶ:加糖タイプは避け、糖分の少ないプレーンヨーグルトを選びましょう。
- 温める(ホットヨーグルト):意外に思われるかもしれませんが、人肌程度(40℃くらい)に温めると、乳酸菌の働きが活発になり、体も冷やさずに済みます。レンジで少しずつ加熱してみてください。
吐き気や下痢の症状がひどい時には、無理に食べるのは避けましょう。
まずは胃腸を休ませることが最優先です。症状が落ち着いてから、少量ずつ試すようにしてください。
ヨーグルトが夏バテ解消の万能薬というわけではありません。ご自身の体と相談しながら、上手に食事に取り入れることが大切です。
市販の薬に頼る前にできること

つらい吐き気や胃痛が続くと、つい手軽な市販の胃腸薬に頼りたくなります。
もちろん、薬は一時的に症状を抑えるのに有効な場合がありますが、それはあくまで対症療法に過ぎません。
薬に頼る前に、まずはご自身の生活習慣を見直し、体自身が持つ回復力を高めることに目を向けてほしいのです。
東洋医学では、病気になりにくい体を作ること、つまり「未病先防(みびょうせんぼう)」を重視します。
薬を飲む前に、ぜひ試していただきたい根本的なケアがあります。
1. 食事の「食べ方」を見直す
何を食べるかと同じくらい、「どう食べるか」が重要です。
- よく噛む:一口30回を目安によく噛むことで、唾液の分泌が促され、消化を助けます。
- 腹八分目を心がける:満腹まで食べると胃腸に大きな負担がかかります。「もう少し食べられるかな」というところでやめておきましょう。
- 寝る直前に食べない:就寝の2~3時間前には食事を済ませ、胃腸が休まる時間を作りましょう。
2. 質の良い睡眠を確保する
睡眠は、日中に受けた体のダメージを修復し、自律神経のバランスを整えるための最も重要な時間です。
- 快適な寝室環境:エアコンは28℃程度に設定し、タイマーを活用しましょう。冷感素材の寝具を使うのもおすすめです。
- 就寝前のリラックスタイム:ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、スマホやPCの操作を控えたりして、心身をリラックスさせましょう。
「たったそれだけのこと?」と思われるかもしれません。
しかし、こうした日々の基本的な生活習慣の積み重ねこそが、胃腸を元気にし、夏バテしにくい体を作るための土台となるのです。薬はその土台がしっかりした上で、補助的に使うのが賢明な選択と言えます。
もし市販薬を使用する場合は、薬剤師さんによく相談し、ご自身の症状に合ったものを選んでください。
ご自身の症状に合ったものを選んでください⇒セルフメディケーションとは
そして、薬を飲んでも症状が改善しない、あるいは悪化するようであれば、迷わず医療機関を受診しましょう。
セルフケアで改善しない…その先の根本改善という選択肢

これまでに紹介したツボ押しや食事の工夫は、つらい症状を和らげる上で非常に有効なセルフケアです。
しかし、「色々試しているのに、毎年同じように夏バテを繰り返してしまう」「スッキリ改善しきらない」と、長年のお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした繰り返す不調は、表面的な症状への対処だけでは解決できない、ご自身の体質や自然治癒力の低下といった、より根本的な問題が隠れているサインかもしれません。
その場しのぎの対策ではなく、来年以降も健やかに夏を過ごすためには、次の一手として「根本改善」という視点を持つことが、本当の解決策への第一歩となります。
鍼灸で探す根本的な夏バテ吐き気解消法
ここまで、ご自身でできる様々な夏バテ対策についてお話してきました。
しかし、セルフケアだけではなかなか改善しない、毎年同じ症状を繰り返してしまうという方も少なくないでしょう。
そのような方々にご提案したいのが、鍼灸による根本的な体質改善です。
この記事のまとめとして、鍼灸が夏バテ解消にどのように役立つのかをリスト形式でご紹介します。
- 東洋医学では夏バテの主な原因を「脾」つまり胃腸の機能低下と捉える
- 鍼灸は特定のツボを刺激し胃腸の働きそのものを高めることを目指す
- 自律神経のバランスを整えクーラー病による不調を和らげる効果が期待できる
- 全身の血行を促進し体内に溜まった余分な湿気や老廃物の排出を助ける
- 「気」の流れを改善することで体のだるさや疲労感を根本から解消に導く
- 内臓の冷えを改善し吐き気や下痢が起こりにくい体質へと導く
- 食欲不振を改善し栄養をしっかり吸収できる体作りをサポートする
- 一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドの施術が可能
- 薬のように副作用の心配が少なく体に優しいアプローチである
- 質の良い睡眠を促し体の自然治癒力を最大限に引き出す
- 症状を一時的に抑えるのではなく不調の起きにくい体を作る「未病先防」の考え方
- 胃腸の働きを助ける補中益気湯や六君子湯などの漢方薬と併用することも有効
- 吐き気だけでなく併発する頭痛や肩こりの緩和も期待できる
- 専門家によるカウンセリングで生活習慣のアドバイスも受けられる
- セルフケアに行き詰まりを感じた時の有力な選択肢となる