夏バテで仕事休む?判断基準と後悔しないための対策【専門家が解説】

夏バテで仕事休む?判断基準と後悔しないための対策

夏の厳しい暑さが続くと、多くの方が「もしかして夏バテかも…」と感じるものです。
特に、思うように仕事に集中できず、「いっそ仕事を休むべきか」と悩むのは、決して珍しいことではありません。
しかし、体調不良で休むとなると、伝え方や休んでいる間の過ごし方、つまり夏バテの休み方にも迷うことがあるでしょう。
また、単なる疲れなのか、あるいは夏バテになったら病院に行くべきですか?といった専門的な判断が求められる場面もあります。
この記事では、ご自身の状態を客観的に把握するための夏バテ症状チェックから、具体的な夏バテの症状の治し方、さらには再発を防ぐための食事や日々の対策まで、網羅的に解説します。
後悔のない選択をするために、ぜひご一読ください。

この記事のポイントは

  • 夏バテで仕事を休むべきか判断するサイン
  • 休む際の適切な連絡方法と職場での注意点
  • 夏バテを回復させるための具体的な治し方と過ごし方
  • 再発を未然に防ぐための効果的な予防策
目次

夏バテで仕事休む?判断基準と休む際の注意点

夏バテで仕事休むか、判断に迷う男性
単なる疲れなのか、客観的な把握材料があれば・・・
  • まずは自身の夏バテ症状チェックから
  • 夏バテによる体調不良で休む際の連絡方法
  • 夏バテになったら病院に行くべきですか?
  • 夏バテの症状の治し方と回復のポイント
  • 効果的な夏バテの休み方でしっかり休養
  • 企業側ができる従業員への夏バテ対策

まずは自身の夏バテ症状チェックから

自身の夏バテ症状チェックを行う女性
特に「思考力の低下」に注意

夏バテで仕事を休むべきか迷ったとき、最初に行うべきはご自身の体調を客観的に把握することです。
なぜなら、「なんとなく怠い」という感覚だけでは、適切な判断が難しいからです。
夏バテは身体的な症状だけでなく、精神的な不調として現れることも少なくありません。以下の表を参考に、ご自身に当てはまる症状がないか確認してみましょう。
複数の項目に該当する場合、夏バテによって心身が消耗している可能性が考えられます。

症状の分類具体的なサイン
全身症状常に体がだるい、少し動いただけですぐ疲れる、微熱が続く
消化器系の症状食欲がない、吐き気や胃もたれがある、下痢や便秘を繰り返す
精神・神経系の症状仕事に集中できない、やる気が出ない、思考力が低下しミスが増える
その他の身体症状頭痛や頭重感がある、めまいや立ちくらみがする、寝つきが悪い・眠りが浅い

これらのサインは、体が休息を必要としている重要な警告です。
特に「集中力や思考力の低下」は、業務上の思わぬ事故につながる危険性もはらんでいます。
一つでも強い症状がある、または複数の症状が続いている場合は、無理をせず休息を検討することが大切です。

夏バテによる体調不良で休む際の連絡方法

夏バテによる体調不良での連絡を入れる、緊張して面持ちの女性
基本的には会社のルールに従いましょう

夏バテによる体調不良で仕事を休むと決めた場合、その伝え方は社会人としてのマナーが問われる場面です。
適切な連絡は、円滑な業務の引き継ぎを可能にし、職場との信頼関係を維持するために不可欠です。

基本的には、会社のルールに従うことが大前提ですが、一般的には以下の点を押さえるのが望ましいでしょう。

  1. 連絡手段:原則として、直属の上司に電話で連絡します。メールやチャットでの連絡が許可されている場合でも、確実に伝わったかどうかの確認が必要です。声のトーンで体調の悪さを伝えることも、状況を理解してもらう一助となります。
  2. 連絡のタイミング:始業時間の10~15分前までには連絡を完了させるのが理想です。これにより、上司は当日の業務分担を再調整する時間を確保できます。
  3. 伝える内容:正直に、かつ簡潔に症状を伝えます。「昨夜から熱と倦怠感が続いており、本日は出勤が難しい状況です」といった具体的な表現が有効です。「夏バテで」と直接的に言うことに抵抗がある場合は、「体調不良」や具体的な症状(発熱、頭痛、めまいなど)を伝えるのが無難です。
  4. 業務の引き継ぎ:急ぎの要件や、他の人に代行をお願いしたい業務があれば、その旨も簡潔に伝えます。

一方で、連絡する際にはいくつかの注意点があります。
例えば、月曜日の朝に連絡する場合、「週末に無理をしたのでは」と勘繰られる可能性もゼロではありません。
もちろん、本当に体調が悪いのであれば休むべきですが、頻繁に繰り返されると自己管理能力を疑われかねないため、注意が必要です。

病院に行くべきですか?

夏バテを病院に行って相談する男性
症状によっては、医療機関の受診が強く推奨される場合もあります

「このくらいの症状で病院に行くのは大げさかもしれない」と考える方も多いかもしれません。
しかし、症状によっては医療機関の受診を強く推奨します。
自己判断で無理を続けた結果、症状が悪化したり、実は夏バテではなく別の病気が隠れていたりするケースもあるからです。
特に、以下のような症状が見られる場合は、早めに内科などを受診しましょう。

  • 数日間、市販薬を服用したり休息したりしても症状が全く改善しない
  • 水分を摂ることすらつらい、または嘔吐してしまう
  • 意識がもうろうとする、まっすぐ歩けないほどの強いめまいがある
  • 経験したことのないような激しい頭痛がする
  • 熱中症が疑われる症状(異常な発汗または汗が全く出ない、皮膚の赤みと乾燥、けいれんなど)

より詳しい症状のセルフチェックや対処法については、環境省の熱中症予防情報サイで確認することをおすすめします。
病院を受診するメリットは、的確な診断を受けられることだけではありません。
会社によっては、欠勤が続く場合に医師の診断書の提出を求められることがあります。
診断書があれば、正当な理由での休暇であることが証明され、安心して療養に専念できます。
症状が軽度であっても、長引く不調に不安を感じる場合は、一度専門家に相談することが心の安心にもつながります。

治し方と回復のポイント

夏バテを解消するために必要な栄養バランスを食事で補う女性
足りないものを補って、心身の機能を正常に戻す

夏バテの症状を和らげ、体を回復させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ただ横になっているだけでは、かえって回復が遅れてしまうこともあります。治し方の基本は、「失われたものを補い、体の機能を正常に戻す」ことです。

適切な水分と塩分の補給

発汗によって失われるのは水分だけではありません。ミネラル、特に塩分(ナトリウム)も同時に失われます。
水だけを大量に飲むと、体内の塩分濃度が低下して別の不調を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
経口補水液やスポーツドリンク、あるいは麦茶に少量の塩を加えたものなどを、喉が渇く前にこまめに摂取することが回復の鍵となります。

消化に良く栄養価の高い食事

食欲がないときは、無理に固形物を食べる必要はありません。
しかし、体力の回復には栄養が不可欠です。
おかゆやうどん、スープ、茶碗蒸しなど、消化が良く、胃腸に負担をかけないものから摂り始めましょう。
食欲が少し戻ってきたら、エネルギー源となる炭水化物、筋肉の材料となるタンパク質(豆腐、鶏ささみなど)、体の調子を整えるビタミン・ミネラル(野菜、果物など)をバランス良く取り入れることが大切です。

体を冷やしすぎない工夫

暑いからといって、冷たい飲み物や食べ物ばかりを摂ったり、冷房を強くしすぎたりすると、胃腸の働きが低下し、血行も悪くなります。
これは自律神経の乱れを助長し、夏バテを悪化させる一因です。
室温は28度程度を目安にし、冷たいものは少しずつ口に含むようにしましょう。温かいスープや常温の飲み物を取り入れることも有効です。

効果的な休養で夏バテから早期回復

夏バテからの回復を優先して「療養の質」を高めて静養する男性
心身の回復を第一優先に

夏バテで仕事を休んだ日は、ただ時間を過ごすのではなく、「療養の質」を高めることが早期回復につながります。
言わば、「おうち入院」を実践するような意識で過ごすのがおすすめです。
効果的な休み方のポイントは、心身に余計な刺激を与えず、回復に集中できる環境を整えることにあります。
まず、デジタルデバイスとの距離を置きましょう。
スマートフォンやパソコンの画面を見続けることは、目や脳に疲労を与え、自律神経を緊張させます。仕事のメールやチャットの通知は完全にオフにし、緊急の連絡以外は確認しないようにするのが賢明です。
次に、家事や勉強など、「やらなければならない」と感じることから意識的に離れることも大切です。
最低限の食事の片付けなどは仕方ありませんが、手の込んだ掃除や自己研鑽のための勉強などは、回復を優先して休みましょう。
その代わりに、睡眠を十分にとることを最優先にしてください。
日中でも、眠気を感じたら無理せず昼寝をするのが効果的です。
また、読書や音楽鑑賞、穏やかな映画を観るなど、心が安らぐ娯楽に時間を使い、リラックスできる状態を保つことが、心身の回復を促進します。

企業側ができる従業員への夏バテ対策

夏バテ対策を行っている会社の社内風景
企業側が主体的に対策を講じることが、リスク管理としてとても重要

従業員個人の努力だけでなく、企業側が主体的に対策を講じることも、夏バテや熱中症を防ぐ上で極めて重要です。
従業員の健康は、組織の生産性や安全に直結するからです。
厚生労働省の「職場における熱中症予防対策」によると、職場での熱中症による死傷者数は増加傾向にあり、企業のリスク管理の一環としても対策が求められます。

企業が取り組むべき対策には、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 作業環境の整備:冷房やスポットクーラー、大型扇風機の設置はもちろん、直射日光を遮るテントや遮熱シートの活用が有効です。また、涼しい休憩場所を確保し、経口補水液や塩飴、冷たいおしぼりなどを常備することも従業員の助けとなります。
  • 作業時間の管理:気温が特に高くなる時間帯の作業を避けたり、連続作業時間を短縮して休憩をこまめに挟んだりする工夫が必要です。特に、体が暑さに慣れていない梅雨明けの時期は、慎重なスケジュール管理が求められます。
  • 健康管理体制の強化:作業開始前に、従業員の睡眠時間や食事、体調などを確認する朝礼などを実施します。持病(糖尿病、高血圧など)を持つ従業員に対しては、産業医の意見を参考に業務内容を調整するといった配慮も不可欠です。
  • 従業員への教育:夏バテや熱中症の危険性、予防策について定期的に情報提供を行い、従業員一人ひとりの健康意識を高める取り組みも大切です。

これらの対策は、従業員が安心して働ける環境を作り、夏場の生産性低下を防ぐための投資と考えることができます。

夏バテで仕事休む状況を避けるための予防習慣

  • 普段からできる効果的な夏バテ対策
  • 夏バテ対策に欠かせない食事の摂り方
  • 質の高い睡眠で体力を回復させる
  • 軽い運動で自律神経を整える
  • メンタル不調との関連性にも注意
  • 夏バテで仕事休む前に普段の体調管理を

普段からできる効果的な対策

夏バテ対策で運動に励む女性
予防の基本は、「食事」「睡眠」「運動」

夏バテで仕事に支障をきたす事態を避けるためには、症状が出てから対処するのではなく、日頃からの予防が何よりも大切です。これは、本格的な夏が来る前から体を準備させておく、という考え方です。
予防の基本は、「食事」「睡眠」「運動」という生活習慣の三本柱を整えることに尽きます。
これらのバランスが取れていると、自律神経の働きが安定し、体温調節機能が正常に保たれるため、暑い環境にも適応しやすくなるのです。
具体的には、栄養バランスの取れた食事で体を内側から支え、質の良い睡眠で日中の心身の疲労を確実にリセットし、適度な運動で汗をかく習慣をつけ、体力を維持することが挙げられます。
また、ストレスも自律神経の乱れを引き起こし、夏バテを悪化させる要因となります。
仕事やプライベートでストレスを感じたときは、趣味に没頭する時間を作ったり、リラックスできる環境を意識的に設けたりして、上手に気分転換を図る工夫も必要です。

食事の摂り方がとても大切

夏バテ対策に栄養バランスを考えた食事を作る男性
栄養不足は、夏バテを招く大きな要因となります。

夏バテ予防において、食事は体を守るための最も基本的な要素です。
暑さで食欲が落ちがちですが、食事を抜いたり、そうめんや冷たいジュースだけで済ませたりすると、栄養不足から余計に体力を消耗してしまいます。

夏バテ回復に役立つ栄養素と食材

夏バテ対策で特に意識して摂りたい栄養素があります。以下の栄養素を含む食材を、日々の食事にバランス良く取り入れてみましょう。

栄養素働き多く含む食材の例
ビタミンB1炭水化物をエネルギーに変えるのを助け、疲労回復を促進する豚肉、うなぎ、大豆、玄米
クエン酸疲労物質である乳酸の分解を促す梅干し、レモン、酢
タンパク質体力や免疫力を維持するための基礎となる肉類、魚類、卵、大豆製品
カリウム体内の水分バランスを調整し、むくみを防ぐバナナ、スイカ、きゅうり、ほうれん草

朝食を抜かないことの大切さ

一日の活動を始めるためのエネルギー源として、朝食は非常に重要です。
朝食を抜くと、体はエネルギー不足のまま活動することになり、日中のパフォーマンス低下や疲労感の増大につながります。
忙しい朝でも、バナナ1本やヨーグルト、全粒粉のパンなど、手軽に摂れるもので構いません。
また、体を温め、水分と栄養を同時に補給できる具沢山の味噌汁やスープは、夏バテ対策の朝食として非常に優れています。
健康的な食事や栄養に関するさらに詳しい情報については、厚生労働省が提供する「e-ヘルスネット」も大変参考になります。

質の高い睡眠で体力を回復させる

睡眠環境を整えて、夏バテで消耗した体力を回復しようとする男性
就寝前の環境づくりが鍵

睡眠は、日中に受けた体と脳へのダメージを修復するための最も重要な時間です。
しかし、熱帯夜が続くと「寝苦しくて何度も目が覚める」「朝起きても疲れが取れていない」といった睡眠の質の低下が起こりやすくなります。
これが、夏バテの大きな原因の一つです。
質の高い睡眠を確保するためには、就寝前の環境づくりが鍵となります。
まず、寝室の温度は28度以下、湿度は50~60%程度に保つのが快適とされています。
エアコンや扇風機をタイマー設定で活用し、風が直接体に当たらないように工夫しましょう。
また、就寝1~2時間前に入浴し、一時的に体温を上げてから自然に下がる過程を利用すると、スムーズな入眠につながります。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、リラックス効果も期待できます。
逆に、就寝前のスマートフォン操作やカフェインの摂取、アルコールの過度な飲酒は、交感神経を刺激して睡眠の質を下げるため、避けるべきです。
日々の小さな習慣を見直すことが、夏場の体力回復を大きく左右します。

軽い運動で自律神経を整える

「暑いのに運動なんて…」と思うかもしれませんが、適度な運動は夏バテしにくい体を作るために効果的です。現代人は冷房の効いた快適な環境で過ごす時間が長いため、汗をかく機会が減り、体温調節を担う自律神経の機能が低下しがちです。
軽い運動で心地よく汗をかく習慣をつけることで、この自律神経の働きを活発にし、体温調節機能を正常に保つことができます。ポイントは、「軽く汗ばむ程度」の運動を「涼しい時間帯に」行うことです。
おすすめは、早朝や夕方など、比較的気温が低い時間帯のウォーキングやジョギングです。室内で行うストレッチやヨガ、ラジオ体操なども、血行を促進し、体全体をほぐすのに役立ちます。
ただし、体調が優れないときや、倦怠感が強いときにまで無理に行う必要はありません。あくまでもご自身の体と相談しながら、無理のない範囲で継続することが大切です。
炎天下での激しい運動は、かえって熱中症のリスクを高めるため、絶対に避けましょう。

メンタル不調との関連性にも注意

夏バテの症状は、体の怠さや食欲不振といった身体的なものだけではありません。
「やる気が出ない」「気分が落ち込む」「何事も億劫に感じる」といった精神的な不調も、夏バテのサインの一つです。
実際、夏バテと軽度のうつ状態や自律神経失調症の初期症状は非常に似ています。
この背景には、夏の暑さという身体的ストレスが、自律神経の乱れを介して精神状態に影響を及ぼすというメカニズムがあります。
屋外の猛暑と冷房の効いた室内の激しい寒暖差は、自律神経に大きな負担をかけます。
この乱れが続くと、気分の浮き沈みをコントロールする神経伝達物質のバランスも崩れやすくなるのです。
特に、真面目で責任感が強く、完璧主義なタイプの方は、体調の異変を感じても「気のせいだ」「頑張りが足りない」と自分を追い込んでしまいがちです。
もし、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続くようであれば、単なる夏バテと片付けずに、心療内科や精神科などの専門家に相談することも検討してください。
体のケアと同時に、心のケアにも目を向けることが、健やかな夏を過ごすために大切です。

夏バテで仕事休む前にできる事、まとめ

  • 夏バテは本格的な夏が来る前の予防が最も重要
  • 仕事を休むか迷ったら客観的な症状チェックリストで確認
  • 強い倦怠感や集中力の低下は無理をしないサイン
  • 仕事を休む連絡は始業前に上司へ電話するのが基本
  • 症状と出勤困難な状況を簡潔に伝える
  • 数日経っても改善しない場合や症状が重い場合は病院へ
  • 回復期は経口補水液などでこまめな水分・塩分補給を
  • 食事は消化の良いものから始め、栄養バランスを意識する
  • 体を冷やしすぎず、温かい飲み物も取り入れる
  • 質の高い休み方として「おうち入院」を意識しデジタルデトックスを
  • 予防の基本は「食事」「睡眠」「適度な運動」の生活習慣
  • ビタミンB1やクエン酸を含む食事で疲労回復を促す
  • 寝室の温度・湿度を適切に保ち、質の良い睡眠を確保する
  • 涼しい時間帯の軽い運動は自律神経の訓練になる
  • 気分の落ち込みなどメンタル不調のサインにも注意を払う
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